白身魚の雄はヒラメ。釣り立てのピチピチした身に紅葉おろしを少し乗せ、ポン酢醤油で味わうのはグルメ釣り師ならでは。2、3日寝かせた3kg級なら、分厚く切った羊羹切りの刺身がワサビ醤油にピッタリ合う。縁側の刺身も味わい深い。
料理人は柳刃を寝かせてみごとなワザでウロコを削ぐ。白く剥かれたヒラメは痛々しくも見えるが、ここから中骨に添って包丁を入れ、5枚におろす。といっても人によっては縁側を別に切り分けるので、この場合は9枚おろしということか。これがヒラメの定番のさばき方だ。
もう少し簡単で旨さ抜群のさばき方と料理法を紹介しよう。
持ち帰ったヒラメに粗塩をまぶして亀の子タワシでこすり、ヌメリを取る。そしてウロコを取らずに5枚おろし。縁側も含めて5枚におろすようお奨めしたい。そして普通の魚の刺身を作る要領で皮を引く。皮にはウロコが付いたままだから、うまく削げるはず。だが馴れないと大名おろしさながら、皮にたっぷり身が付いてしまうが、まったく心配要らない。その身も食べてしまうのだから・・・
腹骨をすき取り、柵取りした身は刺身にする。薄造りでも分厚い羊羹切りでもお好み次第だ。
ここで注目したいのがウロコが付いたままの皮。適当なサイズに切り分け、水気を拭き取ったら小麦粉をまぶしてはたく。そして熱した脂の中で唐揚げ。焦げるほどだと旨くないが、油温が低すぎたり、揚げてからしばらく置いておくとしっとりしてしまう。パリッとした感じに仕上げて塩をパラパラッと振りかければ出来上がり。もうじき3歳になる孫娘がこの唐揚げをあらかた一人で平らげた。