マダラ料理2002.11.19up20更新

釣ったマダラは尻の穴に指を突っ込んでグリッと回し、白子の存在を確認したらティッシュを丸めて栓をして持ち帰る。
エラを取り除いて血抜きしておくと、生臭さがない。
ウロコを引き、塩をたっぷりまぶして亀の子ダワシでヌメリを洗い流すのがマダラの調理のスタート。
大切な白子と肝を、傷つけないようていねいに取り出す。
マダラの尻栓 マダラの絶ち割り

舳流ジャッパ汁

 マダラといえば白子。タチとかキクなどと呼ばれ、アンコウの肝、すなわちアン肝やトラフグの白子と並び称される逸品だ。マダラ釣りの魅力は竿先をガンガン叩く衝撃と無数の泡の先鋒の後からポッカリと海面に浮き上がる勇姿、そしてタチの深い味わいにあるというのがタハラッチの見解だ。タチの絶妙な味に比べると、その身の何と貧弱なこと。白子を取り除いたマダラは身がやせ細って見え、巨大な頭だけがやけにクローズアップさせる。二人三脚で湯豆腐の味を引き立たせるくらい淡泊な身は、とうていタハラッチのお気に入りには含めるわけにはいかない。本来のジャッパ汁の主役はタチのほか、アラである。しかもエラまで入れるのが正統派。味噌仕立てのタラ鍋で煮込んでも、三枚におろして切り分けた身にはなかなか味が染み込まない。それに引き替え、カマやカブト、とくに胸ビレの付け根の肉や目の周りのゼラチン質には得も言われぬ旨さが潜んでいる。清酒で溶いた味噌で味を整え、大根おろしをたっぷり加えて煮込むのが舳流のタラ鍋。タチはもちろんのこと、アン肝をしのぐほどこくのある肝も加えて煮込めば、寒い日の夕餉は至福の喜びに包まれる。

タラのアラ、白子、肝に、好みで野菜、豆腐、そしてタラの身を切り分けて用意する。 昆布を敷き、味付けは清酒で溶いた味噌。大根おろしをたっぷり加えて煮立てると、旨さが際立つ。
ジャッパ汁の素材 舳流ジャッパ汁

白子のポン酢醤油和え

 鍋についで人気があるのが白子のポン酢醤油和え。ザルに盛った白子に熱湯を注いで湯引きし、すかさず氷を入れた冷水で冷やす。水気を拭き取ったら器に盛り、アサツキと紅葉おろしを入れたポン酢醤油で味わう。切れ味の良い酢の香りがこってりした白子のこくをバッサリと絶ち切って、際立つ旨さを引き出してくれる。

熱湯を注いでさっと湯通しし、氷水でしっかり締めるのがタチを身崩れさせない決め手だ。 ふっくらと揚げた薩摩揚げの中には白子が潜んでいる。
優しさに包まれたたらふく揚げだからきっと孫たちも喜んでくれるに違いない。
白子のポン酢醤油和え 白子のたらふく揚げ

白子のたらふく揚げ

 6.3kgの男の子を1尾持ち帰ったわけだから、身も白子もたっぷりとあり、カミさんと二人の食卓では持て余してしまう。といってすぐに劣化してしまうタラだけに、その処理が問題。単純にすり身にして薩摩揚げというタハラッチの得意なパターンに持ち込もうにも、あまりにも淡泊なタラの身は通常の薩摩揚げでは旨みに欠けることおびただしい。タチや肝などの高級素材を割愛した場末の店などでは、カニを加えてその味をタラの身に移し替え、何とかしのいでいる。そこで一計。タラのすり身にヤマトイモとエビを加え、白子を包んで揚げることにした。白子のたらふく揚げである。ふっくらと揚げ上がった香りが食欲を誘い、優しい食感に忙しかった1日の疲れも吹き飛んでしまうほど。タラにあやかってたらふく食べられるオリジナル料理。タハラッチのメニューに取り入れることにした。

レシピ
皮を引いたタラの身  400g
剥きエビ         50g
ヤマトイモ       100g
塩          小さじ1/2
砂糖         大さじ2
だしの素      小さじ1
片栗粉       大さじ2
清酒        大さじ2
卵            1/2
以上の食材をすり身にし、湯通しした白子を包んで団子状にする。すり鉢ですれば本格派だが、フードプロセッサーでも十分。手に油をまぶしてすり身を扱えばべとつかない。白子はほんの少し詰めるとうまくいく。低温で4〜5分揚げると出来上がり。

白子の雑炊

 アラも白子もまだまだ余っています。でも白子はだいぶ崩れてきました。せっかくのお魚ですから、これでもかと美味しく食べる方法を考えました。アラでだしを取り、その中にご飯を入れてひと煮立て。カミさんが高血圧なので味付けはしませんが、好みで薄い塩味を付けても良いでしょう。煮立てたら白子を入れ、温まったところでアサツキと鰹節をまぶします。味付けは丼に盛ってからポン酢醤油に紅葉おろし。これなら意外とさっぱりしているので、崩れかけた白子でも美味しくいただけます。もちろんだし汁も白子も、生臭さなどまったくしませんので、安心して召し上がってください。

白子の雑炊

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