せっかく銭洲で大型カンパチが食っているのですから、何とか日程を調整して出掛けなければなりません。急遽龍正丸に電話を入れると、21日は出船するとのこと。夕食を済ませるとそのまま下田へと走りました。
2時30分の集合時刻に集まった釣り人はほかに5名。左舷に3名のグループが入り、右舷はトモから常連の村上さん、仲乗りの斉藤君、タハラッチと座り、ミヨシは銭洲が初めてという方です。龍正丸はゆっくりと走って、スタート時刻の20分ほど前に銭洲群礁に到着。仕度をして投入合図を待ちます。
最初はシマアジ狙いですからウィリースキンの2ヒロ半3本バリ仕掛け。水深40m前後の海底から誘い上げてきても何もアタリません。ムロアジ狙いのタナは30〜20mくらいですが、こちらもかなり渋い感じ。シマアジをあきらめて細身のムロサビキに替えましたがまったく食ってくれません。そんな中、ようやく釣ったムロアジをすぐに泳がせていた村上さんのライト泳がせ用の竿先が引き込まれました。8kg超のカンパチで、ここ数日間、食っていた20kg級にはおよびませんが、みごとな体高をしています。きっと霜降りの脂の乗った腹の辺りは、とろけるような旨さに包まれているに違いありません。続いてもう1尾のムロを降ろした村上さんはすかさず2発目をゲット。今度は10kg級です。何となけなしのムロアジ2尾がみごとカンパチ2尾に化けてしまいました。さすがというほかはありません。
村上さんはムロアジ2尾でカンパチ2本をゲット。 龍正丸のHPに写真があります。 |
お客のためにムロアジやソウダを釣ってくれた仲乗りの斉藤君には、 乙姫様から4kg近いシマアジのご褒美がありました。 |
それにしてもタハラッチにはムロアジが食ってくれません。タハラッチだけではなく、その後は誰にも食わないのですから、泳がせ釣りをしようにも手の施しようがないのです。でもソウダが食ってきました。
「大きなソウダでもカンパチは食ってくるよ」
豊船頭のアドバイスにしたがって下アゴから上アゴへと縫い刺しにして大きなソウダを降ろします。竿はリーディングX・GOUIN240Hというワラサ竿。これにタナコンブル750をセットします。道糸は棚センサーブライト15号を250m巻いてあります。オモリは300号。ちょっとオモリ負けの感じですが、この組み合わせに300号のコマセカゴを吊り下げ、あのソウフ岩でシマアジの爆釣を味わったタハラッチですから、そんなことはものともしません。海底から5mのタナを取ってアタリを待ちます。
隣では斉藤君がウィリースキンの仕掛けのままタナを上げてムロアジを狙っています。すると彼の穂先が海中に突き刺さりました。強烈な引きですから、もちろんムロアジではなくシマアジ。4kg近い良型を仕留めて顔をほころばせましたが、相変わらずムロアジは釣れません。
タモに収まるシマアジ。 | スタンディングファイトで大物を締め上げる村上さん。 |
3度目の潮周りをしてタナを切った瞬間、タハラッチのリーディングXの穂先が海面に突き刺さりました。でかいソウダに食らい付いたのですからちとやそっとの型ではありません。グイグイと道糸を持っていき、まったく巻くことができません。懸命に竿を立てているだけが精一杯。相手のなすがままという感じでしたが、やがて止まってくれました。ここぞとばかりに巻き上げると、どんどん近寄ってくれます。せっかくハイパワーを誇るナナハンを使っているのですから電動ポンピングに切り替えます。途中やったり取ったりを繰り返しながら巻き上げていると、やがてモーターの音が小さくなってきました。小型のバッテリーに接続してあったため、電池切れです。巻き上げた長さは34mで、残りは20m強の数字が残っています。こうなったら手巻きで上げるほかはありません。だが引きは強烈。時折道糸をグイグイ引き出していきます。
この引きはただ者ではありません。船頭も村上さんも、カンパチだったら50〜60kgはあるねと話しています。タハラッチももう気付いていますが、ここのところやけになついてきている例の大物に違いありません。
船影を見た大物は懸命に逃げようと抵抗します。そのため残りわずかなところでまたやったり取ったり。なかなか近付いてはくれません。もうタハラッチの両腕はパンパンに張っています。小手先では巻くことができないので、身体をのけぞらせるくらいにして引き起こし、素早くリーリングしてその分の道糸を巻き取ります。ペースはゆっくりですが基本的なポンピングで何とかねじ伏せ、先糸まで巻き上げます。
その先に姿を現したのはやはり緑がかった褐色の背をしたシュモクザメ。ハンマーヘッドというヤツで2.5m以上はありますから、きっと100kgは超えているでしょう。斉藤君がハリスを取り、素早くハサミで切ってバイバイ。事なきを得ましたが、いやというほどくたびれ果ててしまい、のどの渇きをいやすために飲もうとしたペットボトルが風船のように軽く感じられたほどでした。
それにしてもリーディングxの強靱なこと。製作担当のK君が自信を持って奨めてくれた通りの実に良い竿です。またまた意に添わないフィールドテストをしてしまいましたが、ブルのナナハンのパワーも強靱すぎていうことなし。17000Cのバッテリーを使っていたら、もっとすごいテストになったのではないかと思っています。
でもサメとの格闘はもうこのくらいで終わりにし、とてつもない大物をかけてみたいと熱望していますが、その後2回、同じようにソウダを吊り下げたところ、2回ともサメの攻撃に見舞われてしまいました。これはタハラッチだけでなく、ソウダを下げていた全員が同じ結果。やはりエサのムロアジが釣れれば、大型カンパチがまだまだ食って来るという証拠でもあったようです。
途中、気分転換に、イカのタンザクを刺したカサゴ仕掛けで海底を狙ったタハラッチは、メイチダイとナンヨウカイワリを釣りました。ソウダはエサにしてしまい、足りずに斉藤君から恵んでもらったくらいですし、ほかには何もありませんからこれが本日の土産。帰宅した翌日、この2尾をいろいろ料理して食べることにしました。一手間かけて美味しくいただきましたので、料理のページもご覧ください。