参考写真です。
気象情報では台風15号の余波で3mの波との予報でしたが、真夏に戻った相模湾は実に穏やか。フューチャーパイレーツのレポーターのギャル岡部嬢、撮影スタッフを乗せて佐島の桟橋を離れた深田丸はイワシの仕込みにかかります。佐島湾には専門にイワシを獲るアグリ船がいて、イワシを買おうという船はその周りで順番待ちをしています。30分ほど待ってようやく我が深田丸の番がきました。今回はシコイワシ。標準和名はカタクチイワシですが、セグロイワシとかヒコイワシなどとも呼んでいて、刺身で食べると絶妙なヤツ。カツオのエサにはもったいないくらいです。この日の仕込みはバケツに15杯と同乗していたギャルへの特別プレゼントが1杯の計16杯。2つのイケスの中はイワシでいっぱいになり、船はカツオを求めて沖へと走り出しました。
カツオはイワシなどを追い掛けながら群れで回遊しています。群れのことをナブラといいますが、カツオに追われたイワシは海面を波立たせて必死に逃げまどいます。ところがイワシの敵は海中にいるだけではありません。空からはカツオ鳥などが迫ってきます。船頭は双眼鏡であちこち見渡しながら、鳥の群れを探します。いわゆる鳥山というほどの群れですと、カツオのナブラも大きいので期待が大きく膨らみますが、群れが小さいときは数羽でも仕方ありません。
カツオのナブラを見つけたら、船頭は船をそっと潮上に回し、乗り子にイワシを撒くよう指示します。小さなタモでイワシを掬った乗り子は、数尾ずつ4、5回くらいに分けて海面に撒き散らします。これを何度か繰り返していると、海面に落ちたイワシにカツオが食い付きます。カツオは1尾で泳いではいませんから群れが来た証拠。群れを足止めするために、すかさず散水が始まります。
普通ですと左舷には1本釣りの釣り手がずらりと並び、フカセ釣りの釣り人は右舷から仕掛けを送り込みます。でもこの日はロケですから釣り手は田原と岡部嬢の二人だけ。左舷のミヨシから竿を出します。
舳先といえばわかりやすいと思いますが、ミヨシというのは船のいちばん前のこと。船は潮先へと突っ込んでいくため、カツオ釣りにはミヨシが特等席で、1本釣りのカツオ船では、舳乗り(へのり)といっていちばん腕の良い漁師が先端で竿を振るのです。
カツオのフカセ釣りのタックル
普通、活きイワシを使うフカセ釣りは手釣りですが、竿とリールを使うとカツオの引きが増幅され、何倍も楽しめます。
釣って釣って釣りまくりたい人は手釣りでも良いですが、数釣りをしようというならやはり1本釣り。返しのない独特の擬餌バリを結んだ延べ竿仕掛けで、カツオを食わせたらタイミング良く抜き上げ、そのままフッと外してしまう神業のような漁法で、土佐のカツオの1本釣りと呼ばれています。
このほか片テンにコマセカゴを吊り下げ、魚皮などを撒いたバケ=擬似餌を結んだ仕掛けで釣るカッタクリという釣り方もあります。
竿とリールを使うフカセ釣りではさばきやすい短めの竿が圧倒的に有利ですから、HZ先鋭剣崎120号1.7mを使いました。道糸は大流行のPEではなく、クッション性のあるナイロンです。スーパータナセンサーZ600Wの手巻きリールに10号を200mほど巻きました。
道糸は茶色の色物でしたから先端をチチワにし、ディーフロンの10号を1mほどの長さで切ったハリスと箱掛けで接続。先端に伊勢アマの13号のハリを直結しました。
この日はサメの猛攻に悩まされたポイントもありましたが、このシステムのおかげで仕掛けの交換もスムーズにできました。
ここをクリックすると仕掛け図が拡大します。
エサのイワシはエラ掛けで、カマ掛けともいう通り、イワシのエラ蓋を開け、カマの骨を薄く掬うように刺すのが元気良く真下に潜っていく最善のエサ付け法です。イワシが弱らないようバケツにはたっぷりと海水を張り、5、6尾だけ入れて投入合図を待ちます。乗り子がイワシを撒き始めたら素早くハリを刺し、道糸を5、6m程手繰り出しておいて投入準備を整えます。散水が始まったら、ハリに刺したいワシをできるだけ遠くに放り投げます。そのためあらかじめ道糸を手繰り出しておくのです。リールのクラッチは切った状態にしておくのがよいでしょう。
イワシが泳ぎ始めたらリールの直前から道糸を引っぱり出すようにしてスムーズに道糸を送り出し、15mくらい出してもアタリがなければ、巻き上げて新しくて元気いっぱいのイワシを刺して再投入します。活性の高いときは放り投げたイワシが海面に着くと同時にカツオが食います。でもククッと食われたからといってすぐにアワセてもなかなかハリ掛かりしません。くわえたイワシをカツオが呑み込むよう、竿先を少し下げて送り込むとまた引っ張られます。このくらいのタイミングまで待ったらクラッチをつないで竿を立て、しっかりアワセをくれます。
ここからがエキサイティングなカツオとの闘いです。3kgオーバーの良型ですと、引きも強烈。あまり遊ばせすぎないよう強引に顔をこちらに向かせてそのまま引き寄せ、海面にカツオの顔を覗かせて空気を吸わせます。こうなればもうしめたもの。竿先とカツオの顔との距離が1m近くになるまで巻き込み、そのままグイッと抜き上げます。でも5kg、6kgなんていう大物も食ってきますから、でかいと思ったらタモで掬うほうが無難。でかいカツオのほうが脂の乗りが良く、きっとはるかに旨いと思いますよ。