ベニアコウをさばきましょう18.6.7


ほとんどの魚に共通していますが、ウロコを引きます。
ヒレの付け根、エラ蓋や目の回りなどの細かなウロコも、
ていねいに取り除いておけば、アラ煮にしたときにもおいしく食べられます。
また、体側の中央付近に走っているウロコ、以前はたしかリョウリンと呼んでいたと思うんですが、
ネットで検索しても出てきません。
これはこびりついていてなかなか取れないので、気になる方は骨抜きで1枚ずつ剥ぎ取るしかないようです。

次にエラを切り取ります。
頭を落とした後に取ればいいのかもしれませんが、先に切り取り、
胃袋に続いている食道部分に包丁を入れて分離させておくと、
内臓を傷つけずに取り出すことができます。

尻の穴から逆さ包丁を入れて腹びれの付け根付近まで開きます。
肛門の回りの、いわゆる直腸を切除して手を突っ込んで引っ張り出せば、
浮袋以外はほぼ取り出せるでしょう。
中骨に貼りついている浮袋も剥ぎ取ってしまいましょう。

腹がしぼんで情けなくなった魚体から、頭を切り離します。
ベニアコウの骨はやわらかめですから、無理な力をこめなくても切れるでしょう。

次に3枚におろします。
おろしたらそれぞれの身から腹骨をすきとります。
タハラッチは腹骨と砂摺り、腹の下の部分をさらに切り離し、砂摺りは塩焼き、腹骨は煮付けや鍋の具で使うようにしています。
身にはまだ、血合い骨が残っています。
小さな魚だと骨抜きで引っ張って抜き取るのですが、ベニアコウクラスだと無理やり引っ張ると身崩れにつながりかねません。
包丁で切り取って片身を2枚の柵にし、骨付き部分は塩焼きでいただきます。
煮付けや鍋の具にしても構いませんが、この部分はとくに脂が乗っているので、オーブンで焼く塩焼きがおすすめです。




中落ち、中骨のことですが、これも脂の乗りが抜群。焼き物、煮物、鍋物のいずれでも美味しくいただけます。
タハラッチはここでもうひと手間かけ、背びれや尻びれとの接合部分、いわゆる縁側を切り取って、中落ちともども食べやすい大きさに切り分けて使っています。

残るは頭、カブトですね。
パーティーなどでしたら、丸ごとカブト焼きなんて手もありますが、
一般家庭にはそんな大きなオーブンはありません。
どうしても焼きたいというのでしたら、
アルミフォイールで二重か三重に包み、ドウコ缶でじっくり焼き上げます。
タハラッチはクロマグロでの体験しかありませんが、
ベニアコウでもきっと、大迫力だと思います。

さて一般的にはカブト割り。
前述したように骨が固くないので、よく研いだ出刃でしたらさほど難しくはありません。
カマの切り口をまな板に載せ、くちばしをタオルなどで抑えて、
眉間より少し口吻寄りに切っ先を差し込みます。
そのまままっすぐ押し込んでから、
出刃の元を引き下げるようにして頭蓋骨を切り分けます。
ケガをしないよう、十分気を付けてください。
まだ口の辺りがつながったままですから、向きを変え、上あごを切り分けます。
下あごの中心から、腹ビレの真ん中に出刃の刃を当て、
上から均等に力を加えると下あごもうまく切り分けることができるはずです。

大きめのオーブンがあれば、カブト割りした状態で焼き上げることもできますが、
家庭用のガスレンジなどでは持て余すはず。
そんなときはカマを切り外します。タハラッチは切り離したカマをさらに二分割します。
アベレージサイズのベニアコウでしたら、これひと切れで一品ができます。
もちろんカマの片身まるまるを召し上がってもまったく問題ありません。

さて残りは目玉のついた顔の部分。
目玉の周り以外は骨付きですから、
料理屋に持ち込んだときにはほとんど唐揚げにされ、美味しくいただいております。
家庭でもそれでよいのですが、タハラッチは煮物、鍋物にも使っています。
この部分はプレート状の骨でつながっていますから、それを一枚ずつ切り分けます。
少し手間がかかりますが、口唇を含めて、意外と簡単に切り分けることができるはずです。
そして残ったのが目の周り。これ以上細分化せず、煮物、焼き物、鍋物でいただいています。

これですべてかというと、そうではありません。
まだまだ旨い部分が残っています。
内臓ですね。

タハラッチは取り出した内臓を、キモ、胃袋、真子または白子、腸に切り分けます。
肝はレモンバターの蒸し焼き、胃袋はキンピラ、真子、白子があれば、腸と一緒に煮付けていただきます。
胃袋のキンピラ以外はいずれも濃厚で絶品ですから、食べ過ぎないようご注意ください。
なお、煮物や鍋物の場合、脂がしっかり浮き上がってきますので、これは掬って取り除くほうが良いでしょう。


肝と有り合わせの野菜やキノコを乗せ、
酒を注いで塩で味付け。
隠し味程度のしょうゆを垂らして胡椒を振り、
バターをひとかけら加えたら、
アルミフォイール閉じて8分くらい過熱。
レモン汁を振りかけて食べます。
野菜はタマネギ、ピーマン、パプリカ、ニンジン、セロリなど。
キノコもシメジ、エノキ、シイタケ、エリンギなど、
適当でOKです。


胃袋は切り出して開き、
包丁の峰でしごいて汚れを取ったら、細切りにして炒めます。
仕上げに一味か七味を振りかけるだけで、キンピラの完成です。
もちろんほかの魚の胃袋でOK。
串を打って、塩か醤油で味付けをし、
焼き上げてから刻んで食べるのも旨いですよ。

もう一つ、ヒレの活用。胸ビレと尾びれを切り取り、ガラスなどに貼って干して乾燥させるとベニアコウのヒレ酒。
タハラッチは下戸なので縁がありませんが、酒呑みには堪えられないようです。


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